指名委員会等設置会社とはなにか

会社法・商法

会社法の機関設計の中で、指名委員会等設置会社が理解するのがなかなか難しいですね

こちら👇の動画はかなりわかりやすく解説されているので、おすすめです。

動画の中で言われている「人事権と報酬決定権があるから代表取締役は一番偉い」となっていますが、

ただし、

▶ 会社法第349条第4項 の「一切の裁判上・裁判外の行為をする権限」

▶ + 取締役会のない会社での業務執行権限(会社法第348条)

に基づいて、実務上・判例上、代表取締役に人事権や報酬決定権が認められることがある

――という形になります。

条文を確認しましょう

会社法第349条第4項

代表取締役は、会社の業務に関し、一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

会社法第348条第1項

取締役は、株式会社の業務を執行する。


ただ取締役会設置会社の場合では、

重要な人事・報酬については「取締役会の決議事項」とされることが多い(会社法362条)

具体的に条文で確認しましょう

会社法第362条

第2項

取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職

第4項

取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除

簡単にまとめると

  • 重要な業務執行の決定
  • 取締役の職務の執行の監督
  • 代表取締役の選定および解職
  • 重要な使用人の選任および解任
  • 子会社等の管理 など

一見すると権限は取締役会にあると言えますが、

ここでポイントとなるのが代表取締役を選任するのは取締役会です(会社法349条3項)

取締役会の多数派が「代表取締役に任せてよい」と考える人たちで構成されており

つまり取締役会には必然的に代表取締役の考えに近い人が集まっています。

結果的に、代表取締役が実質的に「人事・報酬決定権」を掌握しやすいという構造になります

根拠となる条文こそないですが、代表取締役に「人事・報酬決定権」があると言えます。

指名委員会等設置会社では、この「人事権」は「指名委員会」にあり、「報酬決定権」は「報酬委員会」へと移されています

そして、指名委員会等設置会社では代表取締役はいません。

その代わりに、執行役がいます。

執行役の中から取締役会の決議により代表執行役が選ばれます。

指名委員会等設置会社では、取締役会は「業務の監督」、執行役が「業務の執行」の権限を持っており、

監督と執行を制度的に分離させています。

取締役会が決めたことの執行を執行役に委任させることで、迅速に業務を執行することを期待されています

指名委員会等設置会社ではない会社では、監督と執行は分離されておりません(取締役もしくは取締役会が行う)

指名委員会等設置会社では、「人事権」「報酬決定権」を指名委員会と報酬委員会に権限を移しており、通常の機関設計の会社における代表取締役の権限を取り除いている。これによって、会社の重要な権限を分散させている。

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